要約記事:https://financial-field.com/tax/entry-270290
要約
- 医療費控除とは何か
1月1日から12月31日までの1年間に支払った医療費が一定額を超えると、確定申告をすることで所得税・住民税の税負担を軽くできる制度。 控除対象には、自分だけでなく生計を一にする家族(同居・別居いずれも可)の医療費も合算可能。 - 控除の基準(閾値)
通常は医療費が 10万円 を超える分が控除対象。
ただし、総所得金額等が200万円未満の場合には「医療費が総所得等の5%を超えた分」が対象となる。 - 医療費控除額の計算方法
控除額 =(支払った医療費 − 保険金などの給付金) − 基準額(10万円または総所得等の5%のうち少ない方)
控除上限は200万円。 - 還付される金額の例(11万円の場合)
例として、年間医療費が11万円、所得税率が10%/20%の場合で試算。
- 医療費控除額は11万円 − 10万円 = 1万円。
- 所得税率10%なら還付は1,000円、20%なら2,000円。 - 住民税への影響
医療費控除を申告すると、所得税だけでなく住民税の「所得割」の部分も軽減される。例えば控除額が1万円なら、住民税で軽減されるのは所得割税率(通常10%)で1,000円。 - 確定申告の注意点
- 医療費控除を受けるには確定申告が必要。給与所得者でも還付申告をすれば申告可能。
- 申告は原則として毎年2月16日~3月15日。還付申告なら1月から申告できることもある。過去5年分さかのぼって申告可能。
- 「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)」を使う場合があるが、医療費控除とセルフメディケーション税制は両方併用できない。
- ふるさと納税でワンストップ特例を利用している人が医療費控除申告をすると、ワンストップ特例が無効になるため注意。 - まとめ部分のメッセージ
医療費が10万円を超えていれば「医療費控除を検討すべきである」、少ない医療費でも計算してみる価値がある。手間はかかるが、税の還付や住民税軽減につながる。
誤り・誤りの可能性がある箇所
いくつか注意すべき点や誤解を招きやすい点があります。
箇所 | 問題・誤解の可能性 | 補足・正確な情報 |
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「医療費控除は、医療費が10万円を超えた場合に受けられる」 | 総所得金額が低い人には “10万円” より「総所得等の5%」の方が基準になるケースがあり、その方が低いときにはその割合が適用される。記事ではこのことは言及されているが、読み手が見落とす可能性あり。 | |
所得税率10%/20%を例に出している還付額 | 所得税率に加えて控除後の課税所得や所得控除・扶養控除の影響など他の要因にも左右されるため、単純計算が現実とずれる可能性がある。記事は例示と理解されるが、「これが自分にもそのまま当てはまる」と思うと誤解する可能性あり。 | |
住民税軽減の説明で「所得割10%」とある | 住民税の所得割率は自治体によって異なる(市町村民税率+都道府県民税率)ので一律10%とは限らない。「10%で軽減される」というのは一般的な目安であって、正確な率は地域による。 | |
セルフメディケーション税制の説明 | 記事では「スイッチOTC医薬品の購入費用が高額になったとき、一定の条件を満たせば…」とあるが、実際には購入した OTC 医薬品のラベル等に「セルフメディケーション税制対象」の記載が必要なこと、かつ日頃から健康診断等を受けていることなど条件がある。条件を見落とすと適用できない。 記事では簡略化している可能性あり。 |
この記事を読むことで読者は何を得られるか
読者は以下のことを学べます。
- 医療費控除の制度概要:どのような医療費が対象か、誰が対象になりうるか、控除を受けるための申告方法などが分かる。
- 実際の還付額の目安を知る機会:例として「医療費11万円」で所得税率10%/20%の場合どれだけ戻るかが示されており、自分のケースでおおよその還付額を見積もるヒントになる。
- 手間とメリットのバランスの判断材料:控除を申請する手間(申告すること、領収書などの準備)と、還付/住民税軽減によるメリットを比較でき、「今回は申告しない方がいいか/した方がいいか」を判断する助けになる。
- 注意すべき制度・特例:セルフメディケーション税制やワンストップ特例との関係など、「ただ控除すればいい」というものではない要素があることを理解できる。