要約記事:https://financial-field.com/household/entry-329851
要約
この記事は、60代で貯蓄「50万円」の親(母親)というケースを例に挙げ、「子どもに財産は遺さない」と言っていても、老後生活に十分備えていない可能性がある、という問題提起をしています。主な内容は以下の通りです。
- 60代の貯蓄の平均と中央値
– 金融広報中央委員会の調査によると、二人以上世帯の60代の金融資産保有額の平均値は約2,026万円、中央値は約700万円。
– 貯蓄ゼロ・100万円未満の世帯の割合もあり、「貯蓄50万円」の人が一定数存在する。 - 「貯蓄50万円」のリスク
– 65歳で定年し、90歳まで生きたと仮定すると、夫婦のみの無職世帯で月々の支出(消費+非消費支出)28万2497円に対して実収入(年金含む)が24万4580円であるため、月に約3万7916円の不足。
– この不足が25年間続くと総額で約1,137万円の赤字になる試算。 - 対応策
記事で提示されている対応策は以下のようなもの。- 定年後も働く
- 生活費を節約する
- 保険などの固定費を見直す
- 家・車など資産を売却する
- 資産運用を行う
- 子どもの扶養に入るなど依存可能性を検討する
- 結論
60代で貯蓄が50万円といった少額では、老後に生活費が不足する可能性が高く、平均・中央値と比べて「少ない方」である。対応策を取ることが望ましい。
誤りまたは誤りの可能性がある箇所・注意点
この記事は全体的に正しい方向で問題を提示していますが、以下の点は誤解を招いたり、もう少し精緻な検討が必要だと思われます。
- 平均値と中央値の使い方の曖昧さ
平均値が約2,026万円、中央値が700万円という数字を比較して「50万円は少ない」とするのは妥当ですが、それだけでは個々人の生活状況・資産・負債・収入源(年金の額、副収入等)・支出状況などが無視されている可能性があります。 - モデルケースの単一仮定
定年後から90歳まで生きる、支出・収入モデルはあくまで平均的・標準的なケースを想定。個人によって年金が多い・少ない、健康状態が良い・悪い、住居が持ち家か賃貸か等で大きく異なるため、この記事の試算がその人にそのままあてはまるとは限りません。 - 「子どもの扶養に入る」の現実的ハードル
子どもの扶養に入るという選択肢を挙げていますが、これは制度的条件、子どもの収入・家庭の事情、親子関係など多くの要因が関わるため、実際には可能性が限定されるケースが多いでしょう。また、扶養に入ることで税制・社会保険などでどのような影響があるか、具体的な注意点がほぼ触れられていません。 - 収入と支出の将来変動の不確実性
年金支給額・物価・医療費・生活費などは将来変動することが予想されます。記事では一定の支出・収入が将来も同じである前提で試算しているようですが、インフレや医療費増加といった要因を織り込んだ見積もりではないので、現実にはもっとリスクが高くなるかもしれません。 - その他資産・負債の扱い
「貯蓄50万円」の人でも、不動産等の資産を所有していたり、借金があるといったケースもあるでしょうし、それらが考慮されていないのではないかという点。他資産を売却可能なものがあるかどうか、また流動性の問題などが影響します。
読者はこの記事を読むことで何を得られるか
この記事を読むことで、以下のような知見や気づきを得ることができます。
- 日本の60代における貯蓄の平均値・中央値の実情を知ることができ、自分の貯蓄が「多いか」「少ないか」という相対的なポジションを理解できる。
- 貯蓄が少ない状態で老後を迎えることのリスク(不足する金額の見積もり)を具体的にイメージできる。これにより、将来の生活設計に対する危機感を持つきっかけとなる。
- 実際に可能な対応策(働き続ける、支出の見直し、固定費の削減、資産運用など)がリストアップされているので、自分自身の対策案を考えるヒントになる。
- 老後・退職後の生活に対する準備の重要性が、数字を交えて分かりやすく示されているため、計画を立てるための動機付けとなる。