2024年5月14日、大阪市内で開催された阪急阪神ホールディングスの株主総会において、約1700人の株主が参加しました。この総会では、昨年9月に発生した宝塚歌劇団の劇団員の死亡事件に関する問題が主要な議題となりました。角和夫会長が劇団員の死亡について謝罪を行ったものの、株主からは「会長辞任してください。このような組織は崩壊する」といった厳しい指摘が相次ぎました。
劇団員の死亡事件とその背景
2023年9月、宝塚歌劇団の宙組に所属する女性劇団員(当時25歳)が死亡し、その死因は自殺と見られています。当初、劇団側はいじめやパワハラはなかったと主張していましたが、遺族は上級生による叱責や罵倒など15件のパワハラがあったと主張しました。劇団側はその後、複数のパワハラ事例を認め、遺族に直接謝罪すると共に、再発防止策として稽古スケジュールの見直しや劇団員専用の相談窓口を設置することを発表しました。
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この事件は、劇団員の精神的な健康を守るための職場環境の整備がいかに重要であるかを浮き彫りにしました。特に宝塚歌劇団のような厳しい訓練と競争が伴う環境では、上級生からの指導がパワハラに発展するリスクが高まります。遺族の訴えにより、劇団は問題の深刻さを認識し、具体的な対策を講じる必要に迫られました。
株主総会での会長の謝罪と改革の表明
株主総会の冒頭で、角会長は劇団員の死亡について改めて謝罪し、「二度とこうした問題を発生させないよう、再発防止に全力で取り組んでいます」と述べました。また、嶋田泰夫社長も「皆様に新しい宝塚歌劇団に生まれ変わったと認めていただけるよう、全力で改革に取り組みます。この度は誠に申し訳ございませんでした」と語り、組織改革への決意を示しました。
さらに、総会では具体的な再発防止策についても説明がありました。劇団は今後、劇団員のメンタルヘルスサポートを強化し、定期的なカウンセリングの実施や相談窓口の常設などを行う予定です。また、上級生と新入団員とのコミュニケーションを円滑にするためのワークショップやトレーニングプログラムの導入も計画されています。これにより、劇団内部の人間関係を改善し、健全な職場環境を築くことを目指しています。
株主からの厳しい指摘と批判
しかし、株主からは「起こってしまったことについて、記録に残さないようにしている印象。隠蔽体質なのが企業の姿勢としていかがなものか」といった批判が相次ぎました。また、「被害者をいじめた人たちが舞台に立つのはなぜか?角さん、問題解決後はHDの取締役を辞任してください。このような組織は崩壊する」といった声も上がりました。
これに対し、経営陣は真摯に受け止める姿勢を示しましたが、株主の不満を完全に解消するには至りませんでした。一部の株主は、劇団の内部調査が不十分であり、問題の根本的な解決には時間がかかると懸念を表明しました。また、劇団員の死を防ぐための具体的な措置が不透明であるとの指摘もありました。
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阪急阪神HDの財務状況と今後の課題
阪急阪神ホールディングスは昨年度の決算で、ステージ事業については、劇団員の死亡事件やそれに伴う公演中止・スケジュール変更の影響で2022年度より16億円のマイナスとなりました。しかし、一方で昨年度の営業収益は約9976億円と過去最高水準を記録しています。特に、阪神タイガースが38年ぶりに日本一になったことがスポーツ事業の営業収益を2022年度より120億円伸ばしたことや、鉄道事業の旅客数回復が要因です。
このように、会社全体の業績は好調ですが、劇団の内部問題は依然として大きな課題として残っています。今後、阪急阪神HDは劇団の運営体制を見直し、再発防止策を徹底することが求められます。さらに、劇団員のメンタルヘルスケアを充実させるための具体的なプランを策定し、実行に移す必要があります。
まとめ
阪急阪神ホールディングスの株主総会は、劇団員の死亡事件を巡る議論で大荒れとなりました。会長や社長の謝罪と改革の表明にもかかわらず、株主からの厳しい指摘や批判が相次ぎました。今後の課題としては、再発防止策の徹底と組織体質の改善が求められています。阪急阪神HDは、劇団員の安全と幸福を守るための具体的な対策を講じ、信頼回復に努める必要があります。会社全体の財務状況が好調である一方で、劇団の内部問題が解決されない限り、組織全体の信頼回復は難しいでしょう。これからの取り組みに注目が集まります。
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