トランプ氏の発言でメタ株下落、フェイスブックを「国民の敵」

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ドナルド・トランプ前米国大統領がフェイスブックを「国民の敵」と表現したことにより、大きな波紋を呼んでいます。この発言は、親会社であるメタの株価に顕著な影響を及ぼし、株式市場だけでなく、政治、メディア、そして公の議論の場におけるソーシャルメディアの役割について新たな疑問を投げかけました。本稿では、トランプ氏のこの攻撃的な発言がメタの財務にどのような影響を及ぼしたか、またその背後にある深層的な問題点について掘り下げて考察します。

フェイスブックを巡るトランプ氏の発言の衝撃

ニューヨークからの報道によると、ドナルド・トランプ前大統領は米CNBCの番組でフェイスブックを「国民の敵」と断じたことが明らかになりました。この強烈な表現は、メタの株価に直接的な打撃を与え、一時的に約4%の下落を引き起こしました。この下落は、トランプ氏が自身のソーシャルメディアプラットフォーム「トゥルース・ソーシャル」でフェイスブックを「真の国民の敵」と非難したことに続くもので、それ以前にもメタの株価は1.2%下がっていました。

トランプ氏によるこの一連の攻撃は、メタの市場評価額を約60億ドル(約8兆8000億円)も減少させました。市場分析家たちは、この大幅な下落に他に明確な原因が見当たらないことから、トランプ氏の発言の影響力を改めて認識せざるを得ませんでした。

 

政治的発言がビジネスに及ぼす影響

DAダビッドソンのアナリスト、ギル・ルリア氏はCNNに対して、「トランプ前大統領の発言が株価に与えた直接的な影響は無視できない」と述べ、フェイスブックが過去にも政治論争の中心になったことを指摘しました。ルリア氏によれば、このような論争がメタにとって「良い兆候であったためしがない」とのこと。こうした背景は、ソーシャルメディア企業が政治的な発言や政策によってどれだけ大きく左右され得るかを示しています。

トランプ氏の戦略とその背後にある矛盾

さらに、トランプ氏は先週、短編動画投稿アプリ「TikTok」に関して以前の立場を180度転換し、共和党議員を含む連邦議会の多数が支持するTikTok禁止法案に反対する姿勢を示しました。トランプ氏は、TikTokを禁止すればそれがフェイスブックの利益になると主張しています。この発言は、長年にわたるフェイスブックとの対立、そしてトランプ氏自身のソーシャルメディア使用に関する複雑な経緯を浮き彫りにします。

2021年1月6日の連邦議会襲撃事件を受けてフェイスブックはトランプ氏のアカウント使用を2年間禁止しましたが、2023年2月には彼のフェイスブックとインスタグラムのアカウントが復活しました。この一連の出来事は、ソーシャルメディアがどのようにして政治的な力学に影響を受け、またそれを形成するかの一例です。

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今後の展望

トランプ氏の発言とそれに伴うメタの株価下落は、単なる市場の動きを超えた、より深い問題を提示しています。それは、ソーシャルメディアプラットフォームが民主主義社会においてどのような役割を果たすべきか、そして企業が政治的な圧力にどう対処すべきかという問題です。また、公人の発言が大衆の意見形成や市場の動向に与える影響の大きさを考えさせられます。

まとめ

トランプ前大統領によるフェイスブックへの攻撃は、政治とビジネスの交錯する複雑な関係性を浮き彫りにしました。これは、ソーシャルメディアが社会における公共の議論の場として持つ重要性、および政治的な発言が企業価値に及ぼす影響の深刻さを示す事例です。今回の出来事は、将来にわたって、テクノロジー企業と政治の関係性についての議論を促進するでしょう。公共の議論の場としての役割を担うソーシャルメディアの責任と、それに対する政治的なアプローチのバランスを取ることが、今後ますます重要になってくるでしょう。

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