日立製作所「白くまくん」ブランドの家庭用エアコン生産から撤退すると発表「空調事業の合弁会社を独ボッシュに売却」

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日立製作所は2023年7月23日、家庭用エアコンの生産から撤退することを発表しました。米国のジョンソン・コントロールズ・インターナショナル(JCI)との合弁会社を、ドイツのボッシュに売却する予定です。この売却額は約14億ドル(約2180億円)に上り、2025年6月までの売却完了を目指しています。これにより、合弁会社はボッシュの完全子会社となり、日立ブランドでの家庭用エアコンの販売は引き続き行われる予定です。

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家庭用エアコン生産撤退の背景

日立とJCIは2015年に合弁会社を設立し、日立が40%、JCIが60%の出資割合で運営してきました。日立は1952年に日本初の窓取り付け型エアコンを発売し、1959年から「白くま」のシンボルマークを採用、1975年以降は「白くまくん」ブランドとして親しまれてきました。しかし、近年の経営方針の変化により、中核事業や成長分野への集中を図るため、家庭用エアコン事業の売却を決定しました。

家庭用エアコンの生産撤退は、日立が相乗効果が薄い事業から手を引き、より成長が見込まれる分野に注力する戦略の一環です。特に、業務用空調事業については、データセンター向けの需要増が見込まれるため、日立の家電子会社が合弁会社の工場を取得し、業務用空調設備の生産を強化する予定です。この戦略により、日立は業務用空調市場でのシェアを拡大し、持続的な成長を目指します。

家庭用エアコン市場の変化と日立の対応

家庭用エアコン市場は、技術革新や競争の激化により急速に変化しています。消費者のニーズも多様化しており、エネルギー効率の高い製品やスマート機能を備えた製品が求められています。こうした市場の変化に対応するため、日立は家庭用エアコン事業から撤退し、ボッシュにその役割を引き継ぐことを選びました。

市場全体の変化も、日立の決断に影響を与えました。特に、エネルギー効率環境への配慮がますます重要視される中で、日立はこれらの新しい要件に適応するためのリソースを再配分する必要がありました。このため、日立は家庭用エアコン事業を売却し、より重要な分野での競争力を強化することを選択しました。

業務用空調事業の強化

一方で、日立は業務用空調事業においては引き続き力を入れる方針です。特に、データセンター向けの空調システムの需要が増加していることを背景に、業務用空調設備の生産を強化しています。データセンターは高度な冷却技術を必要とし、これによりエネルギー効率を高めることが求められます。日立は、この分野での技術力を活かし、業務用空調市場でのシェアを拡大することを目指しています。

また、日立は業務用空調事業において、IoTAI技術を活用したスマート空調システムの開発にも注力しています。これにより、空調システムの運用効率を向上させ、エネルギー消費の削減を図ることができます。日立は、こうした技術革新を通じて、業務用空調市場での競争力をさらに強化し、持続的な成長を実現することを目指しています。

まとめ

日立製作所の家庭用エアコン生産撤退は、企業の経営戦略の一環として行われるものであり、中核事業や成長分野に注力する姿勢を示しています。「白くまくん」ブランドの家庭用エアコンは今後もボッシュのもとで販売される予定であり、消費者にとってはブランド名の継続が保証されます。また、業務用空調事業においては、データセンター向けの需要増に対応し、日立は引き続き市場での競争力を強化していく見通しです。このような戦略転換により、日立は持続的な成長と企業価値の向上を目指しています。

家庭用エアコン市場においては、エネルギー効率や環境への配慮がますます重要視される中で、日立の事業再編はこれらの要件に適応するための重要なステップです。業務用空調事業の強化を通じて、日立は今後も持続可能な社会の実現に貢献し続けることでしょう。

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