札幌市の第三セクター「株式会社札幌ドーム」は、2024年3月期決算において過去最悪の6億5100万円の赤字を報告しました。この赤字額は当初見込みの2倍以上であり、プロ野球・北海道日本ハムファイターズが北広島市へ本拠地を移転してから初めての決算であったため、その影響の大きさが浮き彫りとなっています。この記事では、札幌ドームの経営状況や市民や関係者からの口コミや評判を交えながら、この問題について解説します。
札幌ドームの経営状況
株式会社札幌ドームの山川広行社長は、株主総会後の取材において、「長らく本拠地としていた日本ハムが23年春に新球場に移転し、大きな経営環境の変化が現実のものとなった。厳しく受け止め、反省している」と述べ、表情をこわばらせました。最終損益は前期比7億7100万円減となり、売上高は01年度の開業以来最低の12億7100万円にとどまりました。
プロ野球の試合がなくなった影響で、売上は大幅に減少し、固定資産の減損処理なども影響しましたが、それを除いても運営赤字は4億5000万円に達しました。
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イベント開催と運営の課題
プロ野球の試合がなくなった影響は大きく、イベント開催日数も前年度比26日減の98日間にとどまりました。この結果、年間を通じて多くのイベントを開催することができず、札幌ドームの集客力が大幅に低下しました。平日開催での苦戦や命名権協賛企業の応募がなかったことも影響し、運営赤字は大きく膨らみました。山川社長は「やろうとしたことが思うように進まなかった。平日開催は頭の痛いところ。広告と平日ナイターがなくなり収益を上げるのが難しい」と述べています。
また、最大5万人余を収容するドーム内を暗幕で二分し、2万人規模のイベントに対応して需要を喚起しようとした「新モード」を10億円かけて導入しましたが、初めての運用は9月でした。年間で6日間の運用を目標に据えたものの、実績は自主開催イベントを含めて3日間にとどまりました。これに対し、在京の興行関係者は「2万人規模には届かないが、実績のある北海きたえーる(最大収容1万人)など、ほかの施設が選択肢になるのでは」と指摘しています。
市民や関係者からの声
市民や関係者からは、札幌ドームの運営に対する様々な意見が寄せられています。以下はその一部です。
市民の声
「日本ハムが移転してから、札幌ドームの魅力が減った気がする。イベントも少なくなってしまったし、家族で楽しむ場所が減ったのは残念だ。」
「札幌ドームの赤字問題は市の税金にも影響を与えるのではないかと心配。もっと効果的な運営方法を見つけてほしい。」
「ドーム内の新しいイベントモードは期待していたが、実際にはあまり利用されていないようで残念だ。もっと地域に根付いたイベントを増やしてほしい。」
経済関係者の声
「プロ野球の試合がなくなったことで、地域経済にも打撃が出ている。地元の飲食店や宿泊施設の売上も減少しているようだ。」
「命名権や広告枠の販売促進にもっと力を入れるべき。新しいスポンサーを見つけることが急務だ。」
「札幌ドームは、これまでのプロ野球依存型の運営から脱却し、多様なイベントを誘致するための新しい戦略が必要だ。」
観光業関係者の声
「札幌ドームのイベント数が減少したことで、観光客の流れも変わってきている。地域全体で観光資源を見直す必要があるのではないか。」
「観光客にとって魅力的なイベントを増やすことで、札幌ドームを再び活気づけることができるだろう。」
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2024年度の展望
山川社長は、2024年度については、イベント誘致に引き続き取り組み、年間のイベント開催日数は22年度並みの123日を目標に掲げています。また、命名権や広告枠の販売促進に取り組み、黒字化を目指すとしています。「見通しが甘かったのでは」との指摘に対し、「見通しが甘かった、には抵抗がある。思惑通りいかなかったのは事実だが、挑んだことに変わりはない。その辺をカバーして24年度の黒字化を目指したい」との意欲を示しています。
具体的な対策としては、以下のような取り組みが検討されています。
イベント誘致の強化
地元企業や団体との連携を深め、地域に根ざしたイベントを増やすことで、集客力を高める。
命名権や広告枠の販売促進
新たなスポンサーを積極的に探し、広告収入を増やす。
新しいイベントモードの活用
ドーム内の暗幕を利用した新しいイベントモードを効果的に活用し、より多くのイベントを開催する。
市民参加型のイベント
市民が参加しやすいイベントを増やし、地域コミュニティとの繋がりを強化する。
これらの対策を通じて、札幌ドームは再び活気を取り戻し、黒字化を目指すことが期待されています。
まとめ
札幌ドームの赤字問題は、プロ野球・北海道日本ハムファイターズの移転による影響が大きく、運営における様々な課題が浮き彫りとなりました。市民や関係者からは、運営方法や経営改善に対する期待と懸念の声が多く寄せられています。2024年度は、イベント誘致や広告枠の販売促進などを通じて、黒字化を目指すという課題に取り組む年となるでしょう。札幌ドームが今後どのようにして経営を立て直し、市民に愛される施設として再び活気を取り戻すことができるか、その動向に注目が集まっています。