公正取引委員会、VISAの日本法人「ビザ・ワールドワイド・ジャパン」(東京都)を独占禁止法違反容疑で立ち入り検査

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2024年7月17日、公正取引委員会(公取委)は、国際ブランド「VISA」の日本法人である「ビザ・ワールドワイド・ジャパン」に対して、独占禁止法違反の疑いで立ち入り検査を実施しました。この調査は、ビザが提携先のクレジットカード取扱会社に対し、自社の決済ネットワークサービスへの乗り換えを強要していた疑いが強まったためです。国際ブランドへの立ち入り検査は初めてであり、今回の検査は注目を集めています。

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公正取引委員会、VISA日本法人を立ち入り検査

公取委は、ビザ・ワールドワイド・ジャパンのほか、米国本社「ビザ・インク」とアジア太平洋地域を統括する「ビザ・ワールドワイド・プライベート・リミテッド」への調査も開始しました。これにより、公取委は独占禁止法に基づく報告命令を発出し、関係者から事情を聴取する方針です。この調査は、ビザが市場において不公正な取引方法を用いていたかどうかを明らかにするための重要なステップです。

クレジットカード取引において、アクワイアラーイシュアーという二つの主要な役割があります。アクワイアラーは飲食店や小売店などの加盟店を管理し、イシュアーは消費者にカードを発行します。これらの会社は、決済ネットワークサービスを通じて代金の請求・立て替え払いや与信確認を行います。この過程で発生する手数料であるインターチェンジフィー(IRF)の料率は、国際ブランドによって決定されます。

関係者によると、ビザはIRFの決定権を悪用し、料率を引き上げない代わりに自社の決済サービスへ乗り換えるよう、アクワイアラーとイシュアーに強要していた疑いがあります。この行為により、ビザは自社のシェアを拡大し、決済手数料収入を増やす狙いがあったとみられます。公取委は、このような行為が取引相手との「拘束条件付き取引」競争相手への「取引妨害」といった、独禁法が禁じる不公正な取引方法に該当するとみています。

さらに、ビザやマスターカードなどの国際ブランドは、加盟店が競合他社の決済サービスを利用することを妨げる反トラスト法違反の疑いで、米連邦取引委員会(FTC)からも調査を受けています。これに対し、公取委は日本国内でも国際ブランドの寡占による競争の歪みを排除するために、検査を実施しました。

日本クレジット協会のデータによれば、2023年のクレジットカード取引額は約105兆円に達し、そのうちビザのシェアは国内市場全体の50%を占めています。この規模のシェアを持つビザの行為が市場に与える影響は非常に大きく、もし違法行為が確認されれば、他のクレジットカードブランドや消費者にとっても大きな問題となるでしょう。

さらに、ビザの決済ネットワークサービスへの乗り換え強要が確認された場合、これは市場競争を著しく阻害する行為であり、公正な市場競争を確保するために厳正な対処が求められます。公取委の調査結果がどのように影響するかは、今後のクレジットカード市場の動向に大きな影響を与える可能性があります。

まとめ

今回の公取委によるビザ日本法人への立ち入り検査は、国際ブランドによる市場支配の実態を明らかにする重要な一歩です。ビザが決済ネットワークサービスへの乗り換えを強要した事実が確認されれば、これは市場競争を著しく阻害する行為であり、厳正な対処が必要となります。公取委の調査結果に注目が集まる中、国際ブランドの市場における公正な競争環境の確保が今後の重要な課題となるでしょう。また、この調査は他の国際ブランドにも影響を与え、業界全体の健全な競争環境を維持するための契機となることが期待されます。

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